【100倍楽しむ! 百貨店のツボ】⑨

9、【100倍楽しむ! 百貨店のツボ】クレーム

 百貨店の営業担当者にとって、クレーと棚卸は避けられません。激昂して「社長を出せ!」とか「店長を出せ!」とか叫んでいる客がたまにいますが、どんなに叫んでも社長店長も出てきません。
 なぜなら、それ以上の権限を有する者はいないからです。最高権限者が最初に出てきて解決できない場合、次善の策はなくクレームは永久に解決されません。それは双方にとって不幸なことです。

 8で述べたように、売り場の責任者は係長です。商品・サービス・販売員の資質などを熟知しています。お客の気持ちを一番よく理解できるのも係長で、対応も適切です。
 仮に管理職を呼び出したところで、理解させるのに膨大な時間を要し、対応はチンプンカンオプンでよけいに腹が立つというのが関の山です。
 クレームをつける時は、「責任者を呼んでください」と冷静に申し出て、売り場の責任者である係長とじっくりと対話しましょう。双方にとってそれが最も有益です。

 苦情を言う他の手段としては、お客様相談センターを利用したり、イエローカード(お客様の声)を利用するのが効果的です。
 苦情の内容は、売り場責任者→管理職→店長と回覧され、早急な改善結果報告を要求されます。また内容によっては、月次の店・室・本部長会議で取り上げられます。売り場で大声を出すよりは、エネルギー消費が少なくよっぽど効果的です。 ただし、申し立てる内容はできるだけ具体的にしましょう。売り場名、商品名、店員の名前などはきちんと押さえてください。日時も大切です。

 営業担当者にとってクレームは本当にしんどいものですが、お客に育てられることを自覚して、みな逃げずにがんばっています。できれば建設的なクレームにしてあげればと思います。商品やサービスが良くなることは、百貨店と消費者の双方の利益につながることです。

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