〇学童保育の現状
- 学童保育とは
- 学童保育の現状
- 学童保育の先生は、こんなにもがんばっている!
- 学童の環境改善を切にお願いします
1、学童保育とは
正式名称を「放課後児童健全育成事業」といい、学童は「放課後児童クラブ」とも呼ばれます。保護者が日中家庭にいない児童に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る国の補助事業です。
自治体が直接運営するケース、保護者会が運営するケース、民間事業者に業務委託するケースなど、様々な形態があります。保育場所は学校の空き教室や、公共施設の空きスペースを利用する場合が多いようです。

2、学童保育の現状
国の基準では、40名の児童を2名の支援員で保育し、これを1単位と呼んでいます。
また、広さの基準は児童1人あたり1.65㎡以上なので、40名では66㎡が必要ということになります。保育室が教室とは限りませんので、図書室や図工室、体育館の準備室等で保育をするとなると、50~60名の児童を3名の支援員で保育するという大変な事態になります。
学童の教室では、1年生から6年生の児童が混在します。体格も運動量も様々で、ちょっとしたけがや喧嘩が絶えません。高学年には着替えのスペースが必要ですし、発熱したり興奮したりした児童をクールダウンさせるスペースも必要ですが、場所の確保もままなりません。
また、学校や公共施設は施設自体が古く、安全面や衛生面でも多くの問題を抱えています。雨が降れば運動場は水浸しで、送迎の保護者や児童の足元はずぶ濡れに。トイレは和式がほとんどで、水が流れにくく、よく詰まり、木製のドアの鍵はすぐに壊れるといった具合です。

3、学童の先生は、こんなにもがんばっている!
学童の先生は、「支援員」と呼ばれます。正式には、「放課後児童支援員研修」を修了した先生を「放課後児童支援員」と呼びます。ここでは親しみを込めて、学童の先生と呼びたいと思います。
学童の先生は、公務員や教員、保育士をリタイアされて再就職された方が多いです。また、ご自身の子育てが山を越えたので、仕事に復帰した方もいらっしゃいます。子どもが好きで、ずっと子どもにかかわっていたいという理由からです。そういう理由から、学童の先生は高齢の女性が中心になります。
子どもたちは、一人ひとり違った、様々な問題を抱えています。家庭や学校でのストレスを発散できる唯一の場が、学童なのです。学童の先生は、気になる子ども、目を離せない子ども、時には子育てに悩んでいる保護者に、少ない人数で一生懸命に対応します。老体に鞭打って!
たまに保護者から「子どもが学童に行きたくないと言っていて、困る」という声があがることがあります。もっともなことだと思います。学童は、子どもが行きたくなる環境を目指すべです。
しかしながら、学童の先生は子どもたちにけががないよう、事故のないよう、安全面に配慮するのに精いっぱいで、すべての子どもや保護者に個別対応することは不可能です。

4、学童の環境改善を切にお願いします
学童の先生のお仕事は、平月は13時~19時ですが、長期休みや土曜日は8時~19時の長時間保育が毎日続きます。春休み・夏休み・冬休みは重労働なのです。お昼休みも子どもたちと一緒にお弁当を食べますので、本当の意味での休憩はありません。それなのに時給が安いので、なかなか求人に応募がないというのが実情です。
業務委託を受けた法人も苦労しています。
私の在籍していたNPO法人では、外部コンサルティングを入れて、業務の効率化・IT化を進めましたが、パソコンやスマホに馴染みのない学童の先生には、とてもたいへんな業務でしたが、おかげで情報をリアルタイムに共有することができるようになりました。
学童の環境改善は、学童の先生や運営法人だけでは不可能です。行政や保護者も一緒になって、本気で取り組むべきです。そして行政は「こども家庭庁」を見習い、一元的に学童を運営すべきです。学童の環境改善を切にお願いします。
